選挙権を得てから6年(当時は20歳から)、未だにいかなる自治体の選挙にも参加したことがない。(投票したことがない)
20歳になった当時、大学進学で他の都道府県に移り住む多くの学生と同じく、住民票を実家に置いたままであった。
そのため当時住んでいた茨城県内の選挙に絡むことはできず、かといって地元の選挙に参加したところで自分の生活とは無関係なので、経験としての投票という行為に関心はあったものの、大学キャンパス内で期日前投票が行なわれるのを見かけても、ついぞ関わることがなかった。
選挙のためというわけでもなく、免許更新などの手続きを楽にするために住民票を移そうかと考えたことも一瞬あったが、その頃には1年間の海外留学を控えていたし、もちろんマンションを引き払うため帰国後は別の住所に変わることから、結局タイミングを逃したまま時は過ぎた。
帰国後も友人宅やシェアハウスなど住所は安定せず、住民票を現住所にマッチさせたのは社会人になって数ヶ月ほど経って一人暮らしを始めてからだった。
それから1年半ほどが経ったわけだが、未だに何の選挙にも参加していない。
そんなことを言うと「情けない」「自覚が足りない」「それでも社会人か」などといった考えを抱く人は少なくないだろう。それを否定するつもりもない。
なお「これまで国政選挙で投票したことがなく、今回も投票しない」人を対象にしたBuzzFeed NewsとYahoo!ニュースによるアンケート調査(回答者は10-70代のYahoo! JAPANユーザー2000人)は以下のような結果になっている。
特に立候補者の少ない地方であれば1番目の理由が特に目立つのだろう。私の場合は2番目だ。
当然ながら、私が投票所に足を運んだところで、1票ではほとんどの場合何も変わらないのが現実だ。だからマクロ的にもミクロ的にもメリットがない。
無論、地方はもちろんのこと、都内の区議会議員選挙であっても、1票差で結果が変わった事例はいくつもある。(例えば2019年の東京都港区議会選挙では最下位当選者の得票数が1089票で、次点が1088票であった)
しかし発生頻度は極めて低い。
自分1人の票では世の中に何の変化も及ぼすことはなく、現状はただ投票所に出向くための時間と労力とお金(電車代等)がかかるだけである。
「何を怠惰なことを言っているのだ。政治に参加できることを私たちはどれだけ望んだことか」と公民権運動で活躍した歴史の偉人たちの怒りと呆れを買うかもしれない。
しかし、いくら社会における意義を述べられようともミクロ視点で見れば、一定以上の票が集まる一定以上の規模の自治体においては特に、投票行為とは無価値かそれに準ずる代物であることに疑いの余地はない。
「1票それ自体では世の中を変えることはできないかもしれないが、皆が投票することで世の中を変えることができるかもしれない」それは事実だが、繰り返しになるが自分1人が投票しようがしまいが、主観的には無意味である可能性が高いということに変わりはない。
ただし「自分が投票する」という事実(およびその周知)によって、選挙結果に影響を及ぼしうるほどの一定規模の不投票層に投票を促せるのであればまだ意味はある。実際、著名人や有力者の呼びかけで投票に参加する人は多い。(まあ、呼びかけるだけで意味があるので、わざわざ本人が投票しなくてもいいのだけれど)
著名人でなくても周囲の人間に呼びかければ多少は投票数を増やすことはできるだろう。
とは言えども、誰が誰に投票するかをコントロールすることはできないのだから、やはり選挙結果に与えられる影響はあまり見えてこない。(呼びかける側が誰であれ、類は友を呼ぶので、本人の政治的思想の偏りは自ずと反映されるものだが)
特定の政党/候補者に投票する人たちを増やすにあたっては、同じような政治的思想や要望を持つ個人や団体に呼びかけることが考えられる。しかし、そこまでしようと思う人はどれくらいいるだろうか。少なくとも私には面倒に感じられる。
総人口が少ない、または投票率が著しく低いことにより1票の影響力が大きい場合はさておき、基本的にそんな感じの考えなので、世間的にどう思われようが未だ選挙には参加したことがない。
これは何も珍しいことではない。選挙に参加しない多くの人はそのようなことを考えているはずだ。
そして、現実に影響を及ぼす可能性など極めて低い、価値を生まない行為である「投票」(特に国政選挙のような大規模なもの)に参加しない人たちは、健気に模範的に参加する人たちに比べて合理的な傾向にあると考えられる。合理的であるからこそ、彼ら不投票層の意見が政治に反映されれば、より良い政治が行なわれるようになる可能性は十分にある。(もちろん投票しない背景は様々なので一概には言えない)
なお、投票に臨む上で生じる以下の副産物は主観的メリットになりうる。
- 自ずと改めて多少は政治を学ぶことになる
- 他の人と選挙や政治の話題を膨らませることができる
- 投票の経験が得られる(投票所の雰囲気等含む)
3つ目はともかく、1つ目や2つ目は投票がマストではないことは言うまでもない。
やはり今のところ、時間や労力がかかるというデメリットが大きすぎる。
選挙結果に影響を及ぼすという極めて小さい可能性は、どうあがいてもメリットにはなりにくいので、せめてその差を小さくすることが投票率増加において重要であることに疑いの余地はない。
例えば、スマホで数分以内に済ませられるのであれば、屁理屈をこねる前に投票しているだろう。
というわけで、今後の電子投票化に期待したい。(エストニアでは既に実現)
誰かが言っていたが、平均寿命から年齢を引いた数をその人の投票の持ち分とする考え方は面白いと思う。日本人男性の平均寿命が82歳として、ある男性が今40歳なのであれば、その人は42票分の投票権があるという考え方だ。これなら、老い先短い老人よりも、未来ある若者の意見が反映されやすいし、特に低い若者の投票率向上に一役買うことになるだろう。若いのに余命が短い人はどうするのかなどの議論の余地はあるが、日本の人口ピラミッドの形も踏まえると、根本的な考え方として大いに有りだと思う。
なお、投票インセンティブ向上の手段として選挙参加者に何かしら特典を付与するという考えもあるが一定の効果を生み出すにはかなりの税金が費やされることになるだろうし、特典目当てで何も考えずにテキトーに投票する人の数が増えたところで社会にとってはむしろマイナスである可能性が高いので、賛成できない。
2022/01/20
コメント
投票に行くのは不合理です。論拠詳細は下記サイトをご参照ください
政治(投票・選挙)に関するよくある勘違い
http://kanjo.g1.xrea.com/shukyo.htm#4
最も合理的な行動は、投票に行かないことです
政治(投票・選挙)に関するよくある勘違い
http://kanjo.g1.xrea.com/shukyo.htm#4