さて、このような問いが寄せられた。
というわけで、「あり得ない未来」について考えていきたいと思う。
まず、「あり得る未来」の定義を「地球において将来現実に起こりうると現時点で言われている事柄」と解釈した。
ここで例に挙げられている
・人間がAIに支配される
・コンピュータに意識が移植される
の他にも、例えば
・地球温暖化でマラリア感染地域が拡大
・富士山が大噴火して首都圏に粉塵が舞い降りる
・人体冷凍保存の一般化
・AIロボットと結婚する人が現れる
・遺伝子操作された子供たちの誕生
・強力な感染症の世界的流行
・手術やホルモンのコントロール等で男性が出産できるようになる
・人類の顎の縮小化、それに伴う親知らずの増加
などなど、死ぬほど挙げられるだろう。この手のものは、既にかなり出し切られた感がある。
では「あり得ない未来」とは何か。
・恐怖の大王が空から降りてきて地球を滅ぼす
・カブトムシが人語を解するようになり、ペットとしての犬猫人気を抜き去る
・世界各地の豚が空を自在に飛べるようになる
・ドラえもんに出てくる質量保存の法則などをフル無視した道具が開発される
・イスラム教のお偉いさんがローマ法王に転身する
・2040年を境に人類に第三の腕が生え始める
などなど、これも死ぬほど挙げられるだろう。
が、恐らく質問者の意図しているのは、こういうあまりにも非現実的すぎる、身も蓋もない妄想話ではないはず。
よって、「あり得ない未来」を、「現時点においては論じられていない(多分)、将来起こらなさそうではあるけどちょっとは起こりうるんじゃないかと思われる事柄」と解釈する。
前置きが長くなったが、それを念頭に「あり得ない未来」を考えていく。
月面を巡るあれこれ
超強力プロジェクター、もしくは液晶としても使えるソーラーパネル的なものを使用することにより、月面に企業等の広告が貼られるようになる。
なお、ソーラーパネルの電力はもちろん月面を初めとする宇宙開発に使用される。
その頃には人類の視力は特殊レンズや遺伝子操作などによって飛躍的に進歩しているため、月面でもしっかり観察できるようになっている。
また、何百年か先、月に行くことが簡単になった時代に、芸術家集団が月面に超巨大アートを描くことを試みる。
彼らの目的は人類の啓蒙、もしくは単なる芸術表現。
しかし、制作段階で取り締まりに遭い、完成することなく終わる。
地上では、人類の共有財産である月を巡って論争が起きる。
大富豪たちが国を作る
既存国家の無駄や紛争に嫌気の差した一部の大富豪が理想郷を作るべく立ち上がり、理念に賛同した世界の大富豪たちも出資して、新国家を作る。(なんか既にSFとかで結構ありそうな設定)
交通の便の良い快適な気候の地、もしくは常夏の島国あたりが選ばれるだろう。
独自の法を定め、洗練された都市設計、完璧なインフラなど、仕組みが整えられていく。
高度な教育、安定した治安、快適な生活などを求めて、富める者たちが続々移住する。
入国制限が設けられ、それに関連して「独裁」だの「優性思想」だのと批判も起こる。
規模は違えども、これに近いことが既に起きている地域もあると聞く。
特に老人がVRゲームにハマりすぎて社会問題となる
これは「あり得ない未来」というよりも、近い将来、かなり現実的に起こりうることかもしれない。
日本は平均寿命が男女ともに世界トップクラスの長さだが、健康寿命は比較的長くない。国内の寝たきりの患者の数は200万人に達すると言われている。
人口が減っているとはいえ、今後高齢者の割合が増えていくことにより、ますます増えていくと思われる。
そして、寝たきりとまではいかなくても、足腰が不自由だったり体力がなかったりして、思うように動けない老人は多い。
今の高齢者世代はゲームに馴染みのない世代なのでテレビが主流だが、ゲームに馴染みのある世代が高齢化するに従って、寝たままで体を動かさずとも脳波だけで楽しめるVRゲームが今後流行することになると思われる。
その結果、寝食を忘れてゲームに没頭し、体力が極端に落ちる老人や、餓死する老人が増えていく。
それが社会問題となり、政府は何らかの対策を迫られることに。
もちろん、リアルに作られたVRゲームの方が現実より刺激的だと感じる若者たちも、のめり込みまくるように。
過去の偉人の追体験ができるようになる
脳から記憶を抽出し、それをデータ化して編集した上で、偉人の生きた人生を脳で追体験できるようになる。(電極などを使用)
もちろん産まれてから死ぬまでだと長すぎるので、AIなどを使って要所要所だけ抜き取った編集が施される。あるいは短時間で体験できるような仕組みが作られる。
これは余暇を持て余したインテリジェンスな高所得者たちの遊びとして流行する。
脳のデータを提供する偉人(*社会的価値などが大いに認められた存在)は、死ぬ前に遺言で死後に専門機関に脳を提供することを宣言する。
その目的は、死後に脳データを通して得られた売上を研究や貧困対策などのために寄付するというものが専ら。
しかし中には、財産目当てで夫の脳を許可なく専門機関に渡す妻などが現れ、ニュースになる。
もちろん、既に亡くなって脳が消失している偉人は対象に入らない。
カラダのパーツを自在に取り替えられるようになる
もっと細い腕が欲しい、もっと綺麗な顔が欲しいなどという人のための移植手術が行われるようになる。
費用は高額だが、骨格を取り替えるなど、整形手術では限界のあることができるようになる。
新パーツにはiPS細胞などが応用される。
美容目的に限らず、肉体を増強するために太い腕に交換する人や、腕をもう1本増やしたいなどという人も現れる。
子供が生まれるペースが大幅に落ちる
今後、科学/医療技術の進歩により、人類の老化は食い止められ、寿命が飛躍的に伸びる。
脳細胞の寿命自体は400年ほどとも言われているが、その制限すら技術により解決される。
始めはごく一部の富裕層がその恩恵を受けていくが、徐々に庶民の手にも届くように。
また、精子と卵の遺伝子操作が一般的となることにより、寿命の長い、病気になりにくい人類がたくさん産まれる。
しかしそうすると地上が人で溢れてしまうので、大規模な範囲で出産制限が設けられる。
結果、子供が産まれる頻度が激減する。
今の日本だと、30歳くらいで結婚して子供を産むケースが多いが、100歳を超えて初めて産むケースも発生しはじめる。
遺伝子操作ベイビーは能力が高く、ゆえに普通に子供を産んでも社会の中で優位に立てないため、富を持たざる者の出産をしたい意欲は若干減退する。
また同時に、長寿を得たものの、長すぎる人生に疲れ、安楽死等で自殺を選ぶ人も増えていく。
追記(2018.09.03)
自動車みたく、出産に免許が必要になる可能性も。
となると、親としての責任感や倫理観が欠如していると見なされる人、前科に問題のある人、遺伝性の強い重度の障害を抱えている人などは取得できなくなるかもしれない。
まあ、遺伝子組み換えとかで何とかなるようになるのかな?
2018/08
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