晴海ふ頭公園

雑記

その公園を初めて訪れたのは2023年が始まる20分くらい前に、日比谷駅から1人で始めた年越し深夜徘徊のときだった。
なんで行こうと思ったのかは覚えていない。多分、GoogleMapsの2次元地図を眺めていて、気になったのだと思う。

日付が変わる頃、たまたま銀座の時計台のある交差点に差し掛かり、そこでカウントダウンを迎えた。
大学2年の頃に少し見に行った渋谷のスクランブルでのそれとは違って歩行者天国にはなっておらず、交差点の各角に人が密集していたけれどそこまで多くもなく、落ち着いた雰囲気の中にも新年への期待感が溢れているように感じられた。

それから築地を通り、大きな橋を渡る。並び立つ綺羅びやかなタワマン群を抜けると、どんどん人気がなくなっていく。
明かりの一つも漏らさない巨大な建物群を両脇に、真っ直ぐ伸びるだだっ広い道路をずっと歩いていく。車も走っていないので、道の真ん中を歩いた。サイバーパンクな気分だった。

開けた空の下に公園はどっしりと佇んでいた。カラフルな間接照明で彩られる横に長い噴水。開放感のある楕円形の広い芝、営業時間外のこじんまりとしたカフェとデッキ席、その横には休止中の建設工事現場と、眼前の東京湾に光を送りつづける白い灯台。大きな船がいくつか見える。

途中数人の若者グループが車で来ていた以外は誰もいなくて、ただ穏やかで寂しげな空気が充満していた。
東京湾を隔てた先の、年明け直後の活気を帯びた街並みを、石の階段に座って一人ただぼんやりと眺めた。

それからまた行きたいと思いながらも、家から遠いこともあってなかなか行けずにいたけれど、旧選手村である晴海フラッグへの入居がいよいよ来春始まるとまた話題になりはじめた秋の暮れ以降、その空間を親しい人たちに共有したくて、毎回違う顔ぶれで何度かそこを訪れた。

最後に訪れたのは、入居が始まる前月である翌年2月。
それからそう長くない間に色んなことがあって、今や寂しい思い出が強く紐付きすぎてしまった。
きっともう大勢の新住民たちで賑わっているであろうこともあってそのコントラストに心が乱されそうで尚更足が向かないけれど、東京で一番好きな公園だった時期のことはずっと忘れないだろう。

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