東京都千代田区にある霞が関。各省庁や国会議事堂、首相官邸などといった日本の行政機関が立ち並ぶ政治の中心地である。
一般市民には馴染みにくそうなこの空間でできることはあまり知られていないが、実は霞が関は、”大人の社会見学”を楽しむことができる刺激的な空間でもある。
私がこれまで足を運んだのはまだ3施設と少ないが、これらについて述べようと思う。
警視庁
警視庁とは、日本の東京都を管轄する警察組織の総称、及び本部の名称。よくある間違いだが、警視庁は東京都警で、日本の警察を統括しているのは警察庁。
警視庁は、施設見学ができる。平日に1日4回実施されており、所要時間は75分。事前に電話予約すれば見学が可能。
<見学コース>
ふれあいひろば警視庁教室(警視庁紹介映像を視聴)
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警察参考室(展示資料を閲覧)
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通信指令センター(110番受理の様子を見学)
最初に見る紹介映像は、私が参加したときは社会見学の小学生の団体と被ったため、お子様向けムービーを見るハメになった。
警察参考室には、警視総監のバッチやら勲章やら昔の警察で使われていた物品など、ここでしか見られないようなものがたくさん。
最後の通信指令センターが一番印象に残っている。
サイバー感のある大きな部屋で、たくさんの職員が働いている。
あぁ、こうやって110番の対応をしているんだ、と勉強になった。
東京地方・高等裁判所
東京地方・高等裁判所とは、東京都を管轄する裁判所。霞が関に本庁がある。
事前予約不要で、一般に開放されている。まずはフラッと入って空港のように持ち物検査や身体検査を済ませる。刃物等の持ち込みが発覚すれば警察を呼ばれるそうなので、要注意。
次に、玄関付近にある開廷表(近年デジタル化された)を見て、どの事件の審理がどの法廷で行われるかを確認し、エレベーターで目的の階に行き、目的の法廷の傍聴席へ。一部の有名事件では傍聴券が必要になることもある。
開廷は平日のみ。開廷時間は午前が10時頃から12時頃まで、午後は1時過ぎから4時過ぎくらいまで。ただし、3時くらいには大体終わってしまう。
詳細:裁判所|個人での裁判傍聴
リンク先にもあるように、マナーを守って傍聴することが望まれる。
他の地方裁判所にも行ったことがあるが、特に東京は重大事件が多いのが特徴。窃盗から薬物、殺人まで様々。「こんな風に法的手続がなされているんだ」と勉強になる。
オススメは「初審、刑事、1時間程度、被告人が日本人、想像しやすい内容」。
初審でなければ事件の概要が掴みにくいし、民事は地味で分かりにくいし、長すぎても疲れるし、短すぎてもつまらないし、被告人が外国人だと通訳が入ることが多いので冗長になりがちであるし、身近に起こりうる内容の方が頭に入ってきやすいから。
また、普段の生活で意識したり見かけたりすることのない「被疑者」(本当に罪を犯したとも限らない)の背景にあったものや被害者側の感情など、様々なものを垣間見ることになる。
全国ニュースになった殺人事件や虐待死事件を傍聴したこともあるが、ニュースからは伝わってこないことなど色々感じられて、興味深かった。
裁判所の周辺では、抗議活動をしている人がよくいる。貼り紙や立て看板も多い。
国会議事堂
「国権の最高機関」「国の唯一の立法機関」「国民の代表機関」という3つの性格を有する国会という名の日本の立法府が催される建物、それが国会議事堂。衆議院と参議院を参観することができる。
小中学生の頃に修学旅行で見学した人は多いだろう。私は中学の修学旅行のときにある教員から「人生でここを見学できるチャンスはこれくらい」と言われたのだが、のちに普通に見学できることを知り、再び訪れた。
傍聴も可能だが、これはタイミングが合わずまだ実行していないので、参観についてだけ記す。
参加したのは参議院見学ツアー。
10名以上の団体でなければ予約なしに受付を済ませて参加することができる。所要時間は1時間。1時間おきに何回も実施される。時期によってはかなり混むらしい。
本会議場傍聴席、御休所、皇族室、中央広間、前庭などを係の人に案内してもらえる。
詳細:見学・傍聴:参議院
参観してみて、国会議事堂はただの立法施設ではなく、様々な思いや文化、歴史が詰まった巨大なアートの塊なのだとの認識に至った。あまり知られていないが国会議事堂は実は9階建てで、至るところに意匠が凝らされている。
この3施設、いずれも、所要時間は1時間前後で事足りる。
霞が関周辺で急に2時間程度の空き時間が生じたときは、是非このカードを使ってみてはいかがだろうか。
2016.09?
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