2017年3月末、色々あった上に花粉症がヤバすぎたため、急遽一人沖縄に飛んで無計画な旅を開始した。
ある日、那覇市役所の近くから乗り込んだ閑散としたバスに揺られながら、東にある小さな港・安座真港(あざまこう)を目指していた。
「神の島」とも言われる離島・久高島(くだかじま)に渡るためにー。
久高島とは
久高島とは、沖縄本島東南端に位置する知念岬の東海上5.3kmにある、周囲8.0kmの細長く平坦な島。(最高地点が海抜17m)
人口は200人台と少なく、小学校はあるが警察署や郵便局などはない。
日本有数のパワースポットらしく、琉球信仰の中でかなり重要な位置を占める。
琉球の創世神アマミキヨが天からこの島に降りてきて国づくりを始めたという、琉球神話聖地の島であり、東方にあるとされる異界ニライカナイにつながる聖地と考えられていた。
聖域として立ち入りが禁止されているゾーンもある。
この島からは、生き物、植物、石などの持ち出しが禁止されている。
持ち出すと呪われて不幸が訪れるのだとか。
アクセス
沖縄本島南部の東端にある安座真港から、久高島の徳仁港までは、フェリーの「フェリーくだか」と高速船「ニューくだかⅢ」が出航している。
1日にそれぞれ3往復ずつ、計6往復。
所要時間は高速船が15分、フェリーが20分。
往復チケットは高速船が1460円、フェリーが1280円。(2019年5月現在)
子供は約半額で、障害者はさらに約半額になる。詳細は公式ページ参照。
往復チケットを購入し、既に30名ほどは乗っている小さめの船に乗り込む。
水色の海が透明に輝いていた。15分ほどかけて、久高島に到着。
島内散策
レンタサイクル
港の近くにはレンタサイクルショップがいくつかある。その一つに入った。
レンタサイクルは、終日コース(17時まで)で1000円。
3時間コースもあるが、100円しか変わらない上に、延滞料金が高いので、終日コースをオススメする。
ちなみにショップには島の名物「イラブー(エラブウミヘビ)の粉」が売っていた。(食用)
集落散策
自転車で散策開始。
港の近くには集落が広がっているが、相当に閑散としている。
こんなに静かな空間は、そうそうあったものではないと感じた。
たまにすれ違う住人たちは、ほぼ全て子供か高齢者だった。
島の東端へ
島の東端に向かった。猫が多く、何度も見かけた。
ピザ浜などと名前の付いたビーチが、進むたびに右手に現れる看板に書かれている。
島を周回する小道の左手に、人が入っていけそうなスペースがいくつかあった。
立入禁止とも書かれていないので入ってみると、こじんまりとした石碑が立っていたり、宗教儀礼を執り行っていそうな場所があったりした。
宗教儀礼をしていそうな空間には、さらに奥に道らしきものがあったので、かき分けて進んでいくと、視界に海が広がった。
そこから、島の中心西部を見渡すことができた。人は目に付かない。
そこはビーチではなく崖のようになっていて、しかしハシゴがかけられていた。
それからまた道に戻り、真っ直ぐ進んでいく。
視界を四角形として、対角線に線を引くと、下部は白い道、左右は道の脇に生い茂る緑の植物、上部は蒼く澄み渡る空。そんな光景がずっと続く。
島の東端
島の東端に辿りついた。
観光客の自転車がいくつも停めてあった。
緑の植物が地面に生い茂っている。小道を歩き、海に近づく。
岸に立って、太平洋を眺める。
空と海。緑と青のグラデーション。
ただただ水平線が広がっているだけだった。
崖から下を見下ろすと、カニがたくさんいた。
地面に空洞ができており、下に降りることができた。
プライベートビーチ
また集落方面に向かって、別の道を進んだ。(北側ルート)
脇道があったので自転車を停めて歩いてみるとハシゴがあり、そこから眼下に広がる無人のビーチへと繋がっていた。
ハシゴを下り、岩場を跳び、真っ白なビーチへ。
誰もいないビーチを堪能できる。砂浜にはヤドカリがちらほら。
聖域
さらに集落に向かって進む。
沖縄の七大御嶽の一つ、フボーウタキの入り口が見えた。
そこにある看板には、”何人たりとも絶対に立ち入り禁止”などと書かれている。
そして、森に囲まれた道が奥にずっと続いている。
ここまで来たのだから見てみたいという気持ちと、バレてしまったら大変だという気持ちは、後者の方が強かった。
赤外線カメラが監視している可能性だってあるし、バレてしまえば関係者の感情を逆撫ですることになる。
私にとってはただの観光地でも、ここに住む人たちにとってそこが聖域なのであれば、それを尊重して掟に従うべきだと思い、その場を離れた。
再び集落へ
沖縄の一昔前のスタイルの墓がたくさん見えてきた。集落に差し掛かっていた。
島の周囲は8kmだから、止まることなく走り続ければ一周30分程度だろう。
集落の学校では、小さな子供たちが遊んでいた。
足が悪いのか非常にゆっくりと歩く老人がいて、目が合うと掌をこちらに向けてきた。
彼と二度目にすれ違ったときも同様だった。話すことができないのだろうか。
彼はこの島で生まれ育ったのかもしれない。この小さな島にずっといたのだとしたら、一体どんな人生を歩んできたのだろう。
防波堤
港のそばの防波堤の先端に行くと、集落が一望できる。
防波堤の先端から右手には岩場があり、その上に植物が緑々と生い茂っている。
そこには石碑があった。男神と女神を祀っていた。
その前で目を瞑って手を合わせ、美しい自然を見せてくれたことへの感謝を述べた。
太陽を視界に入れた状態でしばらく目を閉じると、開けたときに視界の色調が変わる。
まるで映画の世界の中にいるかのように感じることができる、この現象が好きだ。
帰路へ
引き返して自転車を返却、夕方のフェリーに乗った。滞在時間は3時間くらい。
二階部分の後方に立ち、日が落ちるにつれ異なる色を見せ始めた、徐々に小さくなって水平線と同化してゆくこの平坦で小さな島を眺め続けた。
安座真港へ
安座真港に着いた。
飛行機がつくった長いひっかき傷が空に浮かんでいた。
近くのバス停から那覇まではバスで780円。
しかし、夕方なら混雑するので、タクシーの相乗りがお得。
同じような観光客を見つけて運転手と交渉することを勧める。
2人の女の子と3人で1人1000円でタクシーで那覇市役所前へ。
久高島の観光マップ
2017.??
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