年の瀬なので、2023年をザッと振り返る。
1月、日比谷から晴海埠頭、増上寺などを独り深夜徘徊しながら迎えた2023年。うだつの上がらない中、20代のうちに1年くらいは海外を放浪したいというかねてからの願望は、一気に巡るのではなく細切れの方がいいという発想に変わり、そのためにも固定費として最も大きい費目である家賃を削減することが重要と考えるに至る。当時の残高はゼロだったが、その分を貯金に回せば仕事を辞めたくなったとしても行動に移しやすく、精神的にも楽だろうとも考えていた。
将来への漠然とした不安、環境を変えて気分を一新したいという思い、東京にいるのに東京を活かしきれていないからこそ少なくとも都心から少し距離を置こうという考えもあり、全く別の地方への移住も含めて引っ越しを検討。とはいえ引っ越しのハイシーズンに突入しつつあったこともあり、費用削減の観点からすぐには着手せず、準備の一環で所有物を減らしはじめた。テレビやDVDプレイヤー、折り畳みテーブル、スーツケース、要らない衣類、本棚などをジモティやらメルカリやらでたくさん出品した。
そこから派生して、自室空間の最適化を図るべく、インテリアについて軽く知識を吸収しながら、生活導線の見直しや、快適なデスク環境の構築にも勤しんだ。椅子やデスク、ベッドを新調し、カーテン開閉を自動化し、酷い花粉症に悩まされた結果空気清浄加湿機も導入し、間接照明をふんだんに取り入れ、随分と部屋がスッキリして機能性が増した。上半期のAmazon購入件数はちょうど100だった。
仕事に関しては、3月くらいまではずっとリモートワークであったが、ずっと部屋に籠もっているのも不健全だと考え直し、よく出社するようになった。また引っ越しに関しては、実行することで気分が一新したような感覚が確かに得られるかもしれないが本質的に重要な行為ではないと考え直したこともあり、保留とした。変に守りに入るのではなく、「収入を増やすという方向で動くという選択もある」と友人から言われたことも響いた。
その頃、会社の別チームのレポート作成を一部担うことになり、その非効率な進め方に辟易し、ちょうどAIが大きく騒がれていたことも相まって、AIに限らず業務効率全般の向上に取り組むようになった。主に5月にかけて、仕事でよく使う主にGoogle系のツールの拡張機能を色々導入してみたり、有用なフリーソフトを取り入れてみたり、タスク管理の方法を改めたり、昨年末頃から使い始めたNotionの活用法をアレコレ試行錯誤したりもした。
任される業務範囲が増えてきたものの、「もっと合理的な方法はないか」「どうすればもっと楽に素早くできるか」という観点を常に持ちながら効率改善を進めたことで、費用対効果が高まっていった。
4月下旬、友人との会話をヒントに、進めてきた生活改善や業務効率化をも包括する、自由を拡張するための総合的な基礎能力向上と環境構築を目的とする「ベースプロジェクト」を据え、その構成要素として「精神」「肉体」「生活」「教養」「仕事」を定め、それらの向上に注力することを決める。同時に生活におけるムダの排除をさらに進めた。
6月、昨年末頃から痛めていた腰の調子が戻ってきたのと、会社のオフィスにある誰も使っていないベンチ台やバーベルに目をつけたことから筋トレを再開。週3ほどの出社のたびに、仕事終わりの15分ほど集中的に取り組んだ。必然的に食事にも気を遣うようになり、生活の質がさらに向上する。
この頃、以前から会社で少し気になっていた女性からの誘いで、他の社員と3人でビアガーデンなどを巡ったあと、私の家で朝まで3次会する中で、この人のことが好きかもしれないと改めて感じる。しかし彼女は掴みどころがなく、また私も自分からすぐに誘おうとするほどの熱量にはなかなか至らず、モヤモヤが募る中、意識を分散すべくその日のうちにマッチングアプリを開始する。その時点で2年ほど恋愛から遠ざかっており、このまま何も行動しなければ、ますます恋愛できなくなってしまうという不安もあった。
それまではマッチングアプリなんて面倒で、かつ今注力すべき対象ではないと考えて敬遠していたものの、女性との関係構築を求める過程において得られる学びや、生活改善や精神力強化などに関してプラスに作用しうる要素がたくさんあることを実感する。様々な人とのやり取りに一喜一憂しながらも、男としての魅力を高めたいというモチベーションが高まっていった。
7月初旬、友人と沖縄にダイビングライセンスを取りに行ったのを皮切りに、昨年取得したもののあまり活用できていなかった小型船舶免許を使って東京湾をクルージングしたり、関西の実家に帰って家族と旅行したり、名古屋で大相撲、大阪でサッカーの試合を観たり、岡山の友人の家をハシゴしつつ観光したりと動き回った。その中で根を下ろして生産的なことをしたいという欲求が高まり、7月終盤からは東京からあまり出なくなった。
8月に入ってしばらくして、沖縄に行くタイミングで一旦削除していたアプリを再開した。8月終盤にマッチした女性とその3日後に2人の職場の最寄り駅同士に挟まれた駅付近でランチして、2人とも仕事の合間だったから1時間もないくらいだったけれど心を惹かれる自分がいた。その4日後にディナーしてから散歩して、交際を始めた。その日を境に生活がガラッと変わった。マッチしてからちょうど1週間、交際開始までに共に過ごしたのは5時間程度、互いの苗字すら知らない状態で始まった関係であったが、紆余曲折ありつつもなんだかんだバイブスが合うようで、もうすぐ4ヶ月になる。
アプリでやり取りしていたときは意識していなかったが、2人ともアプリのプロフィールのメイン写真が砂漠で撮影されたものだった。私はサハラ砂漠でラクダに乗ってキャンプ地に向かうときの写真、彼女のは中東の砂漠で撮られたもので、写真の奥には海が映っていた。彼女という存在は、途方もない砂漠の中で巡り会えたオアシスのようにも思えた。これまでのどの恋愛よりも、強い納得感を抱いていた。
なかなか言いにくいことも様々に打ち明けあう中で、互いに正反対な部分を時に強く感じながらも、みるみる関係が深まるにつれ、本当に様々な気付きや学びがあった。感情を揺さぶられることが何度もあった。「愛」について考えることが増えた。整理するためにたくさん言語化した。その過程で、この人であることに必然性はないかもしれないけれど、彼女に丁寧に真剣に向き合って、違いを受け容れて、心の底から大切にして、一緒に幸せな時間を共有しつづけたいと何度も感じた。
彼女の実家は私の両親が学生時代の同棲していたエリアであったり、たまたま見せた5人ほどのLINEグループのメンバーに彼女の高校時代の同級生がいたり、彼女が部屋で流した曲に私が親和性を感じて流した曲を彼女が気に入ってアルバムジャケット写真を確認したら、そこに映る女性が彼女の前の彼氏の元カノであることが分かったり、電話番号の11個の数字のうち9個が同じで並びも似ていたりと、共有する情報量が多いから自ずと発見されやすいとはいえ、運命めいたものを感じることが特に関係初期において度々あった。
運命なんて極めて主観的な都合の良い解釈に過ぎないとは思いつつ、運命を感じている。この先どうなるかなんて分からないけれど、どう考えても別の道を歩んだ方が互いにとって長期的に幸福であると判断せざるを得ない状況にならない限りにおいて、生涯に渡り添い遂げたいと今は思っているし、感じている。
付き合い始めて間もなく、引っ越しを再び検討しはじめた。しかし半年前のそれとは目的が違う。一緒に棲むための引っ越しだ。彼女のマンションの本来の家賃は12万ほどだが、会社が借り上げている関係で現状10分の1ほどで済んでいる。本格的な同棲となるとある程度広い部屋を借りたいから18万くらいはかかると思われるが、そうなると私の家賃7.5万と彼女の1.2万を合わせた金額の倍にもなってしまい経済的に不合理だから、2人のメインの職場と彼女のマンションへのアクセスの良い物件に私が移り住んで半同棲という形が現実的だった。互いのマンションが結構離れていたこと、既に3年半ほど今のマンションに住んでいて、そろそろ別の場所に住んでみたいと思っていたこと、生活効率や快適性向上の必要性を強く感じるようになっていたことも、引っ越したい理由であった。
エリアや広さを考慮すると必然的に家賃は上がるし、金遣いの荒い私に貯金などないが、初期費用も捻出する必要がある。お金を稼げるようにならなければ。一時的にではなく、固定収入を上げねばならない。また、大手勤めの彼女は同い年ながら、私の3倍の所得があった。そうした状況が、もっと仕事を頑張らねばという意欲を大いに掻き立てた。年齢を重ねるにつれ、キャリアの伸びしろはどんどん小さくなる。能力はどんどん落ちていく。それを補う経験をどんどん培っていかなければ、獲得できる機会の幅は狭まり、長期目線での精神的自由が損なわれてしまう。社会人4年目、ようやくエンジンがかかりはじめた。いつだって私はスロースターターだ。
会社での仕事はあまり忙しくなかったが、明るい金色だった髪を(青を挟んでから)黒く染め、役員らに仕事を頑張っていきたいと意欲を伝え、3月頃から高めてきた業務効率や進行管理スキルを活かしつつ、仕事量を増やした。彼女へのフォーカス度合いを分散して感情のバランスを調整するためでもあった。彼女の存在が私の中で大きくなりすぎていた。自分以外の誰か有りきの人生は、不自由だ。自分の人生を最優先しようと努めた。その上で、一緒に歩んでいきたいと互いに思えるなら、そうすればいいというだけの話だ。
また、今の環境で成果を上げつつ、異なる環境で刺激を受けたいとも考え、11月には副業を探しはじめ、学生時代の先輩の会社の業務にも携わるようになった。(まだ大したことはできていない)
本業の会社での仕事で積極的姿勢を続けた甲斐もあり、年明けから結構ハードだが会社にとって重要な案件に携わることが決まった。一緒に働く人も環境も大きく変わる。意欲的に動けば打席に立たせてもらえるこの環境に感謝したい。先日ブリーフィングを受け、かなりメンタルを持っていかれたが、久しぶりに訪れた大きめのチャンスに、食らいつくしかないとマインドを固めた。正直、自分に適性があるかは分からない。そもそもの話、私はあまり会社員に向いていないとはずっと感じている。しかし、そこで成果を残せなければこの先何やってもダメだ、そのときはもう都落ちだという心持ちで、一先ず真剣に向き合ってみようと思う。
というわけで来年は仕事へのフォーカス度合いをさらに高めつつ、彼女や友人たちとの時間も引き続き大切にしていきたいと思う。今年は知り合った人数自体は少ないながら、友人らを介して今後も永く続くであろういくつかの素晴らしい出逢いが得られた。来年は様々な人種ともっと前のめりにコミュニケーションをとっていくつもりだ。また、腰をよく痛めてしまい生活に支障を来しがちなので、ストレッチや体幹トレーニングを日常的に行い、怪我しにくい丈夫な体作りを進める。一定の余力を残して、言語化や学習(歴史や社会など)にももっと力を入れていきたい。
2023/12/29
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