Zoom合コンに参加
最近コロナの影響でリモートワークが増える中で、Skypeに代わるオンラインビデオ通話サービスZoomが市場を席巻している。
そんな昨今、大学時代の友人に誘われて3対3のZoom合コンに参加することになった。どんな感じになるんだろうという興味、時代の先端ちょっとかじっとこ、という軽いノリだった。
友人の友人?がこのオンライン合コンを何らかの形でビジネスに繋げようとしているらしく、それに向けての実験、サンプル抽出とのことだった。
まあ合コンとは明示されていなかったが、男性陣は私と大学時代の他の友人KとAの3人、同人数の女性陣が誰なのかは伏せられていたので、これは実質合コンだろう。
合コン参加経験は大学2年のときにとある友人が居酒屋で開催した10対10という明らかに人数超過のもの(その後の二次会では近いという理由で私の部屋を提供させられ、初対面の男にリビングを盛大にゲロまみれにされた)、そして5年のときにソイツに誘われて参加した学生限定合コンという都内開催のしんどいイベントの2回。今回はそれ以来、通算3度目だった。
なお、合コンに不慣れな元地方大学生の野郎3人に対して、予習教材として合コンをテーマとしたこのような動画が運営側から送られてきたが、あざとい女性視点であるため全くの無意味であった。
21時、パソコン画面の前に座り、送られてきたリンクからトークルームに入る。しばらくすると女性陣も入ってきた。明らかに綺麗な人もいて男性陣は緊張を隠せない。
通常この手の合コンというのはその場に男性側と女性側それぞれに幹事がいるものだと思うが、今回セッティングした人たちはそこにはいない。つまり男性陣同士、女性陣同士はそれぞれ友人でも、男女の架け橋が不在という状態であった。
いきなり訪れる気まずさ
その場を仕切って盛り上げる幹事的存在がいないー。これはオフラインであったとしても気まずいのではないかと思う。物凄く気まずい静寂が場を支配する。
そんな中、誰かが乾杯を提案するも、ぎこちない感じは続く。その後、Kがたどたどしくも自己紹介の流れを作る。男から順におとなしめに無難に喋る。続いて女性陣。事前に医療系とだけ聞いていたので看護師か何かかと思っていたらいずれも研修医や医学生で、しかも同じ大学の出身者や在学生であった。
大学というもののの世間は狭く、共通の知り合いが何人もいた。そういった話やコロナ禍での生活の話などで、ほんの少し盛り上がりはした。徐々に慣れていき、全体的に皆の言葉数が増えていく。
Aのネット環境が悪く、彼の画面だけちょくちょくフリーズしていた。そのお陰で少し空気が和んだりもした。
しかしやはり全体的に気まずくぎこちない空気は漂いつづけた。会話が盛り上がったと思ったら直後にシーンと静寂が訪れる。そんなことが何度も繰り返された。
頻繁に生まれる沈黙の中、誰かのLINEの大きな通知音が鳴り響き、静寂を一層際立たせる。そのシュールさに笑いすら込み上げてくる。笑いをこらえきれなくなり、挙動不審な感じで席を何度か外した。
Kの口数が減る。視線の動かし方からして恐らくパソコンで作業をしているのだろう。私もちょくちょく作業をしていた。Aはフリーズして何度か退室してはまた戻ってきたが、もともと口数が少ないのでいてもいなくても気まずさにはさして影響がない。
そんな微妙な状況を打開すべく、運営側が女性陣にコールを振ることを提案。
そして運営に指名された女性が、持っていた缶チューハイか何かをぎこちなく飲み干す。
だがこれは気まずさに拍車をかけるだけに過ぎなかった。全く盛り上がらない。
本来その場を盛り上げる行為である「一気飲み」をして、その様子を皆真顔に近い表情で眺めるー。
そのシュールな状況がまたどうしようもなく微妙な空気を生み出す。地獄である。視線が泳いでしまう。思わず笑いが込み上げる。また席を外す。一呼吸置いて真顔を取り戻し、何事もなかったかのようにまたパソコンの前に座る。誰も悪くない。悪いのは全部コロナだ。
Kが唐突にオススメのカフェを皆に尋ねる。しかしカフェ好きのKほど知識のある人がいなかったため、微妙な空気が加速する。私も皆が仕事以外に普段何をしているのかを尋ねるなど積極性を見せるが、不発に終わった。
開始から2時間と少しが経って、誰かが「そろそろ」と言ってようやくお開きになった。
なお、のちに知った話だが、Aの電波が悪かったのは、気まずさに耐えかねたAがあえてWi-Fiの接続を切断していたからというのが真相であった。
オンライン合コンの難しさ
Zoom合コンをやってみて、その難しさの理由が分かったので以下に記す。
いずれも合コンに限らず4-5名以上参加のオンライン通話に関しても同様に言えることだが、合コンという初対面同士が多い・目的がハッキリしない状況においては特に問題となる。
1. 全員で1つの会話を共有しつづけることになる点
リアルの場合、最初は大勢で話していても、その後は1対1や2対1で話すことになり、ずっと大勢で話しつづけることにはならない。
しかしオンラインの場合、その場にいる限りは最初から最後まで全員で話すことになる。だから、比較的深掘りなどしにくく、無難な内容に終始してしまう。
2. 一人あたりの発話量が少なくなる点
リアルの場合、先述の通り最初は全員で話していても途中から自ずと数人単位に分かれるものだ。
しかしオンラインの場合、その性質ゆえに1人が喋っているときは他の人たちは皆黙ることになる。その状態が終始続くことによって、参加時間における一人あたりの総発話量は確実に少なくなる。
黙っている時間が長いと、受け身・聞き手の姿勢が強くなる。それが沈黙が生まれやすい土壌を形成する一要因と言えるだろう。
3. 誰が話し始めるのか掴みづらい点
オンラインだと画面越しにしか相手のことが見えないため、リアルの場よりもその人の状態やテンション、雰囲気や些細な変化を掴みにくい。
そのため誰かが何かを話そうとしているのかが分かりにくく、発話のタイミングが被りやすい。それゆえ皆発話に慎重に、控えめになってしまいがちで、これも沈黙が生まれやすい要因である。
4. 集中を持続するのが難しい点
リアルの場合、目の前にいる相手に敬意を払ってちゃんと目を見て耳を傾けつづけることになる。他にすることもないから、たとえつまらなくても何とか続けやすい。
しかしオンラインの場合ではそのあたりが曖昧になる。目の前にあるパソコンや携帯端末をいじることなどが容易いため、その場にいる意識が薄れて会話への集中度が下がってしまう。
以上を踏まえての提案
新社会人になって2週間強、基本的に在宅である上、入社前に会社の人たちとは内定式や忘年会で面識が生まれていたので、新たに出逢った人は今回の3人を除けばせいぜい3~4人ほど。
出逢いの季節とも言われる4月であるにも関わらず、私と同様の状況である人が多いだろう。「新たな出逢い」という刺激が多くの人に不足している今、今後オンライン合コンの類いが流行るかもしれない。
そこで、上記の難しさを踏まえて今後オンライン合コン的なことをしようという人たちに「こうしてみたらいいかも」と思ったことをいくつか提案する。
1. 背景画像の設定
今回、互いの事前情報をほとんど知らなかったのは会話を進めにくい要因の一つだったと思う。
そこで、Zoomの背景画像変更機能を活かして「自分を象徴する背景画像で参加する」というさりげないルールを設けてみるのはいかがだろうか。
事前にプロフィールを互いに共有しておくとかトークテーマを決めておくというのもいいかもしれないが、そういうのはなんとなく野暮ったいという印象が個人的にはある。背景画像設定くらいのさりげない工夫の方が、ぎこちなくならずに会話を膨らませることができるのではないかと思う。
2. 人数はせいぜい同時に4人まで
今回の6人というのはずっと皆で会話する人数としては多すぎると感じた。せいぜい4人までだろう。
そして会話への集中度を高めるために、30分から1時間程度の時間設定にした方がいい。盛り上がればその後また開催すればいい。通常のリアル合コンと違って無料で気軽に開催できるのだから、長くやる必要性は低い。
あるいは例えば男性4名と女性4名が集まれば、男性2人組×2+女性2人組×2と分けた上で30分~1時間交代制で2セットやるというのでもいいと思う。2人ずつに分けた場合は友達を1人連れてくるだけでいいのだから参加ハードルが下がる。
3. BGMの用意
どうしても沈黙が生まれやすいと考えられるため、それを緩和するためにBGMが欲しいところだ。
誰か一人がスピーカーを置いて曲を流すのでもいいし、皆でYouTubeの同じ作業用BGMをそれぞれ再生するというのでもいい。その曲選も話題のタネになる。
何なら同じ曲を聴く必要はないが、皆がそれぞれ何か曲を聴いているという共通認識は重要だろう。
個人的にオンラインで知らない人と複数人で話すのが初めてで要領を掴みづらかったというのはあるが、何度かやってみれば慣れそうだと思った。
まあコミュ力が凄まじい人や合コンに慣れている人なら、そうした違いをモノともせずに最初から盛り上げていけるのかもしれない。Zoom飲みは会話上手かどうかの試金石としても有効だろう。
2020.04.18
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